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【第一話】終わりの始まり
 何度やっても変わらない死のループに、芽亜凛の心は折れそうになる。誰でもいい、誰かに話を聞いてもらいたい。そんな一心で、芽亜凛は保健室にて独白する。話を聞いた保健教諭の猪俣は、石橋先生に伝えてあげる、と協力的な姿勢に。同時に、その場に居合わせた学年トップの優等生、朝霧修の力を借りて、橘芽亜凛は再び試練に挑む。守りたい人がいるから──

【第二話】梅雨に駆ける

 いつも雨だった今日の天気が快晴に恵まれた。こんなことは初めてであり、芽亜凛は、早くもこのルートの変化を実感する。放課後、約束をしていたネコメに会って、芽亜凛は今度こそ『敵』の調査を頼んだ。一方、朝霧は渉とその先輩、四月朔日と接触していた。思惑が渦巻く、一夜限りのお泊り会がこうして幕を開ける。

【第三話】VS生物学

 自分には知る必要があると決意して、芽亜凛は石橋先生から十年前の話を聞く。ネコメは当時、学校内に潜んでいた殺人教師からクラスメートを守るべく、独りで闘っていたという。そして芽亜凛は、呪い人がE組に絞られている理由を知る。大人たちに助けられながらも、芽亜凛は次の日の生物学に向けて心構えをするのだが……。

【第四話】何も知らないきみへ

 笠部淳一は逮捕された。芽亜凛はひとまず現状維持として自分のすべきことを優先していくが、そんななかネコメ刑事から、響弥と神永家にまつわる衝撃の事実を聞かされる。渉は響弥と疎遠になっていく一方、朝霧との仲を深めていた。しかし、心の内側を見せようとしない朝霧のことが気になっていき……。

【第五話】偽りの華

 どうも朝霧は小坂と遊園地に行くらしい。安堵したのも束の間、みんなを守りたいなら凛を見捨てろと諭されてしまい、芽亜凛は、それでも人間らしい心を持ち続けようとする。ネコメは長海と協力して捜査を進めていた。渉は朝霧との仲を深めつつ、響弥と仲直りする。見えないところで、善と悪が蠢いていた。

【第六話】正義の一撃

 渉を待っていたのは二年B組の優等生、晩夏すみれだった。晩夏は渉と二人きりになる場所を探して、そこで朝霧修のヒミツを話し出す。一方、ネコメに待ち伏せされた響弥は、ショッピングモールにて対話をしていた。交わらない二つの正義がリンクするとき、神永家にまつわる新たな情報が浮かび上がる。

【第七話】価値なき優しさ

 朝霧に言われた後、渉は新堂明樹に接触して怪我を負った。それでも渉は新堂を責めず、自分とのテスト勝負で勝ったらバスケ部に戻ってくれ、と約束を交わすことに成功する。芽亜凛は怪我の理由に朝霧が絡んでいるのではないかと追及するが、逆に朝霧に警察との関係を探られてしまう。今も尚、あらゆる正義と思惑が水面下で動いていた。

【第八話】初夏、忌まわしきメモリー

 新堂の母から息子のことを任された渉は、食生活の乱れた彼のために弁当を作り、学校に持っていった。しかし二日続けて行われた作戦は新堂を苛立たせるばかり。ついに渉は、新堂やその連れの宮部たち、そしてクラスメートから忌避されるようになる。時は同じくして朝霧の妹の虹成は、大嫌いな兄との過去を思い出す。

【第九話】電光石火

 登校した渉を待ち受けていたのは、何者かによる非道な嫌がらせの数々だった。犯人は宮部たちだと思うが、証拠が掴めずに悪戦苦闘。油断した渉にさらなる悲劇が降りかかり……疲弊しきった彼に寄り添ったのは新堂明樹だった。一方、響弥は放課後ネコメに待ち伏せて、とある店へと連れて行かれるのだが……。

【第十話】夜はまだ明けない

 体育館で倒れた渉は、朝霧から息抜きに水族館へ行こうと誘われる。翌日、渉は朝霧と共に羽目を外し日々の疲れを癒やすことに。時を同じくして、芽亜凛は小坂家を出ることを決意する。彼女をバス停まで見送った千里と小坂は、誰もいないはずの二階から奇妙な音楽を聴く。そして、この日から芽亜凛は二人と連絡が取れなくなってしまって……。

【第十一話】幸せが崩れ去る音

 親友が逮捕された。学校に広まった不穏な噂に惑わされつつも、渉は新堂との約束を果たすためテストに集中する。昨日の放課後のように、また新堂と話したいと渉は思っていた。だがテストが終わり、凛と一緒に階段を下りていると、背中を押されて転げ落ちてしまって……。そのとき階段上にいた新堂は、停学処分を言い渡される。

【第十二話】四面楚歌

 停学中の新堂の元に来たのは渉だった。渉は新堂の停学処分は冤罪であると学校側に伝え、生活が苦しい彼に手料理を振る舞う。自分勝手で、だが新堂を思い続ける渉に、彼も心を許していった。その帰り、渉は自宅の前で親友と会う。一方、下校中の朝霧の元に非通知の電話がかかってきて……。事態はパニックと化し、奈落の底まで落ちていく物語。

【閑話 ネコメ】十年前のあなたへ

 ネコメがいたのは、十年前の藤北の教室だった。これを夢と信じて疑わないネコメは、自分を殺したことのある少女、舞耶との記憶を遡る。呪い人に藻掻く現在の状況を、若かりし頃の長海に打ち明け、そうして人々を巡る間に、この悪夢から覚めるには己が死ぬのが一番早いとネコメは悟った。これは謎多き刑事ネコメの過去を綴った、ほんの一ページ。

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