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【第一話】「はじめまして」
 渉が目を覚ました時、そこは知らない部屋だった。何があったか思い出せない渉は、突如部屋に現れた──白い髪をした親友に尋ねる。響弥と瓜二つの彼は茉結華と名乗った。冗談は止せと訴えかけるが、茉結華は冗談などではないと言う。こうして、渉と、渉の『知らない親友』──茉結華との、地獄の監禁生活が幕を開ける。

【第二話】「今から人形遊び、しない?」

 絶食状態で次の日を迎えた渉は、茉結華から人形劇を見せられる。響弥、朝霧、千里──知り合いを模したパペット人形を用いて、茉結華は自身のことを渉へと語った。自分の親友の正体が人殺しで、誘拐犯で、監禁者だと知った渉は、いずれ自分も殺されるのだと悟る。その夜、茉結華の協力者と見られるルイスとの関係も明らかになって……。

【第三話】「新しい部屋」

 一夜明けて渉が目を覚ました時、そこは昨日までとは違う別の部屋に変わっていた。茉結華に対する反抗心は変わらず、昼間から言い争いをする二人であるが、それと同時に渉は響弥に対する罪悪感に苛まれつつあった。一方の茉結華も、渉の気持ちの変化に気付いていく。やがて交差する二人の思いはどこへ向かうのだろうか──

【第四話】「じゃあね、渉くん」

 茉結華のやり方が甘いと言う渉は、殺意の証明として自分を殺すように仕向ける。しかし茉結華は、一人で勝手に死ぬのが似合うと渉に告げて、血塗れの状態で押入れに閉じ込める。孤独を感じながら渉は死についてを考えるのだが、本能は生を求める。諦めきれない矢先、視界に映ったのは壁板に刻まれた『まゆか』という文字で……。

【第五話】「キスするの? 殴るの? どっち?」

 監禁されて一週間以上が経った今、警察は各行方不明者の中でも殺人事件として朝霧修の身元周辺を探っていた。渉は傷の治癒に尽くし、茉結華は期末テストに向けて課題を片付けている。監禁下で穏やかな日々を過ごしている中、凛が学校でいじめられているという話を茉結華に聞かされ、その直後、金髪ウィッグの少女が部屋に招かれる。

【第六話】「久しぶり、だね」

 監禁されてから十日目。ネット上では藤北の生徒行方不明事件が呪いのせいであると囁かれていた。一方、渉は小坂めぐみを一人で行かせてしまったことを酷く後悔していた。あの後彼女がどうなったのか、気にはなるが訊けないでいた。そんな日の夕方、茉結華は招かれざる客を引き摺って部屋へとやって来る。それは、変わり果てた姿の朝霧修だった。

【第七話】「しばらく一人にさせてほしい」

 藤ヶ咲北高校校門前で、生徒二名の遺体が見つかった。このことをきっかけに、学校は世間からの注目を一気に浴びることになる。渉は二人の死を受け止めきれずにいた。全ての事件の実行犯である茉結華は、渉をどうにか励まそうとする。その日の渉の入浴時間、茉結華がふと目を離した隙に彼はいなくなっていて……。

【第八話】「……たす、けて」

 その日、逃げ出すことを決意した渉はルイスから地下室の情報を聞き出し、囚われの少女──千里を救うべく地下への階段を下りる。ルイスに嵌められたとも気付かずに極寒の暗闇を進むが、心身ともに満身創痍の渉はとうとう茉結華に見つかってしまう。しかし、渉の耳に聞こえたのは、会いたくてたまらなかったはずの親友の声だった。

【第九話】「思い出して」

 茉結華は渉に、幼少期のことを思い出してほしいと望むようになる。しかし地下での一件を経て、渉の記憶は前後し、茉結華に対する反抗心は著しく低下していた。それを退屈に感じながら茉結華は次のステージへの準備を始める。その最中に渉が思い出したのは茉結華のことではなく、千里を救うことだった。焦燥と嫉妬心の中、茉結華は松葉家からあるものを回収する。

【第十話】「犯人は誰ですか?」

 渉が押入れに閉じ込められて、二十四時間が経過していた。死んだ人間の幻覚を見るようになった渉は、無自覚に狂っていく。そんな彼に茉結華は、公園で響弥と凛が千里の遺体を発見したことを伝えた。警察は犯人である茉結華の手がかりを掴めないまま、世間はオカルトの話題で賑わい続ける。そして、全ての予定が整った茉結華は、渉を殺さないことを決意した。

【第十一話】「もうひと押し、必要だよね」

 世間が神永分寺を頼り出した頃、茉結華は国語教師の植田可奈子を家へと招き入れる。その場で毒殺しようとした茉結華だったが、あと一歩のところで背後から一撃を喰らい、植田に逃げられてしまう。重傷を負った茉結華が向かった先は、渉のいる監禁部屋だった。ふたりで過ごす最後の空間になるかと思いきや、渉が驚きの行動に出る。

【第十二話】「また会いましょう」

 メールを見た茉結華は、訪問者──百井凛と対峙する。感情のままに彼女を追い詰めた茉結華は、鎖を引き千切って凛を庇いに来た渉の言葉に大きく揺らぐ。静かに怒る渉に返り討ちされ、ピンチのところをルイスによって救われる茉結華。重傷の渉を見てショックを受けている矢先、凛のスマホが鳴った。電話の相手は藤ヶ咲北高校の転校生──橘芽亜凛だった。

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